キス−キスTOPへジョニー・ウィアーの長い、長いトラベリング・キャメル・スピン。荒川静香の美しく反るイナ・バウアーと、風にゆれる大輪の花のようなドーナツ・スピン。“武器”をもってる人の滑りは、その最高の瞬間を、見る者の眼に焼きつける。
ジョニーの武器 04−05 NHK杯レポ

とつぜんですが、子どものころ“自転車の押し掛け”やりませんでした? 自転車はエンジンあるわけじゃないから、“押し掛け”ってのも変な表現だけど。
つまりほら、バイク・レースでスタート直後、押し掛けってやるでしょ? ハンドルつかんで押しながら、片足だけペダルに乗せ、もう片足で地面を蹴りながら、つーい、つーいと前進する。しばらくするとバイクのエンジンかかるから、その瞬間、地面を蹴ってた足を大きく上げてサドルをまたぎ、ぽーんと飛び乗って走り出す。
ウチら世代は子どものころ、これを自転車でよくやったもんです。うまくキマるとかっこええし、気分いい。さいきん子どもがやってるのはあまり見かけないが。

N杯EX、男子優勝者ジョニー・ウィアー(米)の、長い長いトラベリング・キャメル・スピン見てたら、あの“押し掛け”を思い出した。地面を片足でつーい、つーいと蹴って進む、あの感じ・・デジャ・ヴだった。
それにしても、長ーいトラベリング・キャメルだったなあ。いつぞや、スルヤ・ボナリーがえんえんやってるのを見ていらいだ。私はボナリーのこの演技で、この技の名をおぼえたんだった。
※ついでにミニ解説。ふつう“トラベリング”っていうと、スピンしててだんだん軸がブレてくことだけど、トラベリング・キャメル・スピンの場合、スピンに入る前、地面を蹴りつつ、わざと何度も、何度もスピンに入る形をくりかえす技のこと。見てるほうは「いつだ、いつだ、いつスピンに入るんだ?」っていう、いわば、じらされる快感を味わうわけです。

EXだけでなく演技でも、ジョニーのトラベリング・キャメルは、きれいに決まってましたね。EXアンコールで、「あれ、もう一度見たいなぁ」と思ってたら、ちゃんとやってくれた。アンコールの長さもちょうどよかったし。この子、観客の呼吸が読めてる! まだ若いのに。
そして、自分のトラベリング・キャメルが、決めワザになることもちゃんと知ってる。SPだったか、最終盤にこのワザ見せても、動きに疲れを感じさせなかったし。
いちばんの決めワザ、いわば自分だけの“武器”を持ってる子は、伸びる。そして、誰でもひとめ見て判る、香油でも浴びたようになめらかな、すべての動き。
おそるべき20歳。こりゃ、トリノ大本命が出てきたぞ〜。仏ジュベールくん、露ドーチャくん、トリノ五輪の男子メダル争いは、この3人の三つ巴になると見た!

本田くん・・今季GPシリーズはじめて見た私は、SP見て、まぢ泣きした。「リヴァー・ダンス」で見せた、精密機械のように速い正確なステップ、城田強化部長ご自慢の着地の美しいジャンプ、片鱗もなかった。あれは私の知ってる本田くんじゃない、と泣けてしかたなかった。
FPでややもちなおし、得意の連発イーグル見て、少しホッとした。お肌の荒れも気になったし、体調よくないのかな。ていねいな解説で、一度は引退まで考えた、これまでの事情はよく判ったけど。
あと男子ではMYイチおし、ニコラス・ヤング(カナダ)! ジャンプはなんかドタドタしてる、スピンは軸がブレてる、ステップはほほえましい(解説の五十嵐さんいわく「あまりむずかしいことやってるステップじゃないですね」・・そんな、一言で・・☆)、荒削りもいいとこ、どうみても、技術はまだまだね。
でも、この子の演技には、小さくまとまらず、はじける可能性と、なにより天性の愛嬌を感じた。技術はみがけば光る、でも愛嬌は努力で身につくもんじゃない、いわば天の恵み。これを“武器”にしなくてどうする。がんばれ、ニコちゃん!(^△^)゛

女子は、荒川さん圧勝。SPですでに勝負あった、他をよせつけない女王の貫禄、たしかに。刈屋アナの「エレガントな凄み」って表現は、まさしくドンピシャ! さすがだ・・☆
だけどね〜・・恐いもの知らずのシロートが、生意気いわせていただくと。
たしかに動きも衣装も洗練され、自信もって滑ってるのが、見てて判る。タラママのとこ行くと、みんなあんなふうに、ひと皮むけるのよね。
でも、なんか心から賞賛できない。なぜだ? ずーっと考えてて、やっと判った。
タラママのセンスを疑うわけじゃないが、荒川さんに合った演技&衣装だとは、私には思えないんだ。前季の“白鳥”だって、とても瀕死にはなりそうもない白鳥だったし(苦笑)、今季のジュリエットも・・すくなくとも私のイメージするジュリエットには、とても見えない。まえにサーシャ・コーエンが、やっぱりタラママのもと、ジュリエットのイメージの演技と衣装で滑ったとき、ぴったりだと思ったから、よけいそう思う。
けっきょく、私が荒川さんの演技でいちばん印象に残ってるのは、EXの「オペラ座の怪人」だったりする。それも、演技前半の仮面つけた怪人の男装が、よく似合う。
もうちょっと、はっきりした顔だち、大柄で伸びやかな荒川さんならではってイメージの演技と、それに合う衣装ってあるんじゃないだろうか?
後記:このときのジュリエットの衣装は、ピンクのヒラヒラ。金髪ならともかく、日本人の黒髪には合わない。本人もそう思ってたのか、世界選では白一色の衣装に替えてた。ぜったいこっちのほうがよかった!

ついでに。キス&クラに戻ってきた荒川さんの首すじに腕を投げかけつつ、タラママ一言。「
ダラガーヤ・・」おおっ! はじめてタラママの話すロシア語が解った。かんど〜:o(T-T)o:
ダラガーヤ(ДOЛOГАЯ)・・「高価な・貴重な・親愛な」の女性形。
手紙の冒頭に「親愛なる○○様」の形でも使うし、配偶者に「ねえ、きみ」「ねえ、あなた」の意味でも使う。タラママから荒川さんにだと「愛しい子・・(よくやったわ!)」って感じかな。


ソコロワちゃん・・FP『ロミオとジュリエット』選曲が荒川さんとカブったのは、ちょっと損した? 背中をななめに横切るヒモがゆらゆらする衣装は素敵だが、動きにつれてどっかに引っかけないか、ちょっとハラハラ。灰色がかったエンジ色は、似合ってたけど。
安藤美姫ちゃん・・5年前99年のN杯では、客席から氷上に投げこまれる、お花あつめ係の子だったとは! 考えてみりゃ、いま16歳だからフシギはないが。
「N杯・総集編」では、EXグランド・フィナーレ、着ぐるみド〜モくんといっしょに、ぴょんぴょん跳ねて両手を振るプル子ちゃん、その前で笑う11歳あんみきちゃん映像が貴重だった。

アイスダンス。優勝したデンコワ&スタビスキー、去年のヘンデル「組曲」の叙情とぜんぜんちがう、楽しい「アフリカ風バッハ」。衣装も、去年の淡い青のひらひら薄物から、赤と黒の原色に現地風もよう入りだし。なんか、私のなかにあるアフリカと、バッハのイメージを、ここちよくブチこわす新鮮さだった。ついでにデン&スタさんに持ってたイメージも。ウィンクラー&ローゼあたりがやりそうな演技と、衣装だと思ったもの。
つぎの機会に録画して、もう一度じっくり味わいたいな。演技そのものも、音楽も。

しかし、気づけばGPシリーズたけなわとは思えない、今年の季節感のなさって、なにごと?
04.11/8記
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